鏡を見たり、洋服を選んだりすると、ふと気づくポッコリお腹。
「どうにか出てきたお腹を引っ込める楽な方法はないだろうか…」と思う方も少なくないでしょう。自分のお腹まわりがどうなっているのか、ケアの方法を見直してみましょう。
お腹が出てきてしまった本当の原因とは?
●見た目の問題
「お腹がでてきたな」と感じた時、単純に、「太ってしまったな」と考えることがほとんどでしょう。
お腹が出てきた原因は、本当に太ったからでしょうか?見た目の変化に惑わされ、お腹が出ているように見えるだけということもあります。
鏡で横から見た時、とくに女性は腰が反っていることがありますが、その方がお尻があがって見えて良い姿勢に感じるでしょう。一方で、人間は直立で、背骨がS字状になっています。
そのため、骨盤が前に倒れていたり、腰椎の湾曲が強い場合には、自分のお腹を上から見たときに、ポッコリお腹に見えてしまいます。
●臓器の問題
お腹がポッコリしてしまっている女性で注意したいのは、臓器の下垂です。お腹の内側にある、良い姿勢やプロポーションをキープするための筋肉が弱ってしまっていると、体重は増えていないのに、お腹が前に出てしまいやすいものです。
姿勢をキープする筋肉が弱いということは、内臓を納めておくべき箱がゆるゆるだということ。
そのため、内臓が重力に負けて下に下にと降りてきてしまいます。この筋肉のゆるさは、重症化してしまうと、骨盤の中の臓器(子宮・膀胱・直腸)が膣から外に脱出してしまう、「骨盤臓器脱」という病気になってしまうこともあります。
●手遅れになる前に確認しておきたいこと
上述した見た目や臓器下垂の問題でお腹が出てしまっている場合、無理なダイエットは逆効果です。
間違った運動をすることで、臓器脱になる人もなかにはいます。
お腹がでてしまったと感じたときには、冷静に自分の身体をチェックしてみましょう。
・サイズを測って変化が分かるようにする
・体重の変動を確認する
・どんな姿勢でお腹が出ていると感じるのか
すぐできる!大事なのはいつもの○○
楽にお腹をひっこめたいとき、大事なのは普段の姿勢です。
「原因」のところでお話したように、骨盤の傾きなど、姿勢によってお腹が出てしまっている場合があります。骨盤の傾きを意識して姿勢を正すことが重要です。
お腹の力(体幹)が弱いと、姿勢を保つ力も弱いため、無意識に背中が丸まってしまったり、脚を組んでしまっています。
姿勢を正せば、自然と体幹の筋肉を使うことになり、それだけでもトレーニングになります。いわゆる腹筋運動をするよりも、骨盤の傾きを意識した姿勢を心がけましょう。
以下の方法で骨盤の傾きを確認してみましょう。
(1)壁にもたれてまっすぐに立つ
(2)頭とお尻、かかとを壁につける
(3)腰と壁のすき間に手を入れてみる
●すき間が「手のひら位」の場合:ちょうど良い骨盤の傾きが出来ているでしょう。
●すき間が「こぶし大以上」の場合:骨盤が前に傾きすぎている可能性があります。
●すき間が「全然なくピタッとくっつく」場合:骨盤が後ろに傾いている可能性があります。
お腹をひっこめ、骨盤の位置を正すコツは、お臍の下あたりを少し意識すると良いです。
お臍の位置を1cm上に、1cm内側に移動させるくらいです。いつでも姿勢を正してお腹ひっこめトレーニングをしましょう。
執筆者:座波 朝香(保健師)
監修医:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)