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糖質ダイエットの本当のトコロ、栄養学の専門家医師が解説

「糖質オフダイエットは痩せる!」という証言は後を絶たず、かくいう筆者も実感したひとり。

ただし、一方では、「続けにくいし、リバウンドする」「糖質は必要な栄養素」との見解があるのも事実であり、氾濫する情報に混乱している人も多いはず。

そこで、本日は、栄養学の専門家でもある伊藤史子ドクターに取材。モヤッとする糖質問題をクリアにしていきます!

伊藤史子先生:
医師・医学博士。あやこいとう クリニック院長。日本医科大学高度救命救急センター、昭和大学病院を経て、自由が丘クリニック、松倉クリニックなどで、肌のみならず全身が美しくいられるための治療法をマスターした後、予防医療、アンチエイジングを専門とするクリニックを開院。分子整合栄養学やナチュラルホルモン補充療法にも精通する、インナーケアのスペシャリストとして、雑誌などの取材を受けることも多い。

糖質ダイエットの本当のトコロ、栄養学の専門家医師が解説

糖質は砂糖やご飯だけではない!

Q.
そもそも何が糖質か、というところから教えてください。

A.
まず一つは、私たちが主食にしているご飯やパン、パスタ、うどんなどの炭水化物です。その他、果物などに含まれるブドウ糖などの果糖、そして牛乳や母乳に含まれる乳糖なども含まれています。

また、ニンジン、カボチャ、イモ類、ゴボウなどの根菜類も、糖質を含む食材ですし、トウモロコシなどの食べると甘い野菜や、衣を使う揚げ物にも糖質は含まれており、日々の生活で、糖質を完全にカットするのは難しいのが現状です。

脳を動かすために、欠かせない栄養素

Q.
糖質はなぜ、私たちの身体に必要なのでしょうか?

A.
身体が動くために、必要なエネルギー源となるのが糖質であり、特にブドウ糖は、脳を動かすために欠かせないもの。勉強したり、仕事をするために必須であり、私たちが活動する朝や昼間は、いずれかの形で、どうしても糖質が必要となります。

低血糖という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、その名のとおり、血液中の糖(ブドウ糖)の値が少なくなった状態のこと。気持ち悪くなったり、冷や汗をかいたり、頭痛がしたりと、さまざまな症状が現れますが、なかには倒れて意識消失となり、最悪、死に至ることも。

原因としては、病気などの関連もありますが、食事制限などでの糖の摂取量不足でも起こります。つまり、私たちの誰にも起こり得ることであり、生命維持という点からしても、糖質は大切なのです。

糖質ダイエットの本当のトコロ、栄養学の専門家医師が解説

糖質不足だと、筋肉や脂肪から糖をつくる

Q.
糖質カットをすると、どうなるのですか?

A.
糖質をカットすると、人間は生命維持のために、体内の乳酸を分解したり、筋肉、赤血球を壊して、糖をつくるようになります。また、体脂肪などの脂質からも、糖をつくることができるようになります。これらはもともと、人間が農耕民族になる前の狩猟民族であった原始時代に使われていた、糖をつくる回路が呼び覚まされた結果です。

人間は生き残るために、糖をつくる回路をいくつも持っており、非常事態になると、それらが使われ始めるのです。そのため、糖質カットをすると、無駄な脂肪を消費することができますが、一歩誤ると、それ以前に、筋肉や赤血球が壊され、基礎代謝の低下や貧血を引き起こすというデメリットもあるのです。

炭水化物は主食ではない!糖質は砂糖と同じ

Q.
ならば、今までどおりの摂取量でOKですか?

A.
現代社会においては、多くの人にとって、答えはノーです。炭水化物の必要量は、その人の活動量や、活動の種類などによっても異なってきますが、基本的には摂り過ぎです。

昔は、白いご飯がごちそうであったことからしても、炭水化物は貴重だったし、洗濯機や掃除機といった便利家電もなかったため、活動量が現在よりも多かったはず。それに対して、今はご飯以外にパンやパスタなどもあり、3食必ず炭水化物をしっかり摂り、ラーメンライスや甘い菓子パンなど糖質のダブル盛りも多い。

そこまで糖質を摂らなくても、身体はきちんと回せますし、明らかに摂取過多。エネルギーなどとして使われずに余った糖は、脂肪に変換されて蓄積され、体重増加の原因ともなります。

そう考えると、主食というイメージが強い、ご飯やパンなどの炭水化物は、食事量の3分の1以下で十分。減らした分を肉や魚などのタンパク質や、野菜など食物繊維の摂取にあてましょう。

また、睡眠によって脳が休むことを考えると、一般的には、夕食では炭水化物を一切抜いても問題ないと思います。

タンパク質や食物繊維と一緒に、が鉄則!

Q.
糖質を摂るときの注意点は?

A.
食事を摂ることで、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖の値)がダラダラ上がって、時間の経過とともにダラダラ下がる状態が、理想の状態です。急激に上がって急激に下がると、低血糖や脂肪が増える原因になります。

とはいえ、血糖値の上昇が緩やかだからと、玄米ばかり食べると、今度は遅延型フードアレルギーのリスクが上昇します。アレルギーを避けるうえでも、白米、玄米、普通のパン、全粒粉のパン、パスタ、うどん、雑穀など、いろいろな種類の炭水化物を摂るのが理想的です。

そして重要なことは、血糖値の急上昇を避けるために、タンパク質や脂質と一緒に摂るということ。タンパク質を分解するのに時間がかかるため、糖の分解にも同じように時間がかかり、血糖値のアップダウンが緩やかになるのです。

つまり、塩むすびだけ食べるよりも、鮭むすびを、ゆで卵などと一緒に食べるほうがオススメというわけです。

また、糖質をカットし始めると、筋肉が壊される可能性もありますが、タンパク質を摂取しながら運動することで、それを防ぐことが期待できます。ストイックな糖質オフに挑むよりも、まずは、毎日の食事における糖質の量と、食べ合わせを見直すこと。これだけでも、スッキリする可能性は十分にありますよ。

文・楢﨑裕美

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