出産後、体型を早く戻したいと思っていてもなかなか痩せられないとお困りの人も多いでしょう。
しかし、「ある“3つの筋肉”を鍛えれば、激しい運動をしなくても体型を戻すことができる」と言うのが、マタニティ整体師の酒井早苗さん。
そこで今回は、酒井さんに“産後ダイエットに欠かせない筋肉”と、“生活に取り入れられる運動習慣”についてお話を伺いました。
■太る原因は、“リラキシンホルモン”!?
妊娠すると筋肉が疲労しやすくなり、脂肪がつきやすくなります。これにはさまざまな理由がありますが、“リラキシンホルモン”の分泌量にも関係が。
“リラキシンホルモン”とは、思春期から出る子宮や卵巣、胎盤などから分泌される女性ホルモンのひとつで、生理前にも分泌されます。
妊娠中に分泌が増えるのは、赤ちゃんが分娩時に産道をスムーズに通るため、関節や靭帯を緩ませようとするから。もともと女性の体は男性よりも脂肪が多く、特に生理前は体が脂肪を蓄えようとして筋肉が落ちやすくなるのです。
筋肉量が減ると代謝が悪くなるので、さらに痩せにくい体質に……。
産後は、まず減ってしまった筋肉をつけることを意識しましょう。子育てに忙しい日々、ガムシャラに筋トレをしなくても、無理せず痩せられるために鍛えるべき3つの筋肉をご紹介します。
■1:大臀筋(だいでんきん)
代謝アップには筋肉が必要ですが、中でも大きな筋肉を動かすと効果的。なぜなら一度で多くのエネルギーを使うからです。
まずひとつ目は、大臀筋というお尻の筋肉。お尻全体をカバーし骨盤から太ももの骨に向かって伸びていて、姿勢を保ったり歩いたりするのに不可欠な筋肉です。
男性や赤ちゃんのお尻を見ると、プリッとお尻が引き締まっていることが多いですよね。ですが、妊娠中は大臀筋も衰えがち。歩くだけでエネルギー消費できるため、この大臀筋を鍛えることがとても重要です。
■2:内臀筋(ないでんきん)
内臀筋は太もも全体の筋肉のことで、骨盤とつながっています。つまり、下半身を動かすのに重要な筋肉。
内臀筋が衰えると太ももが太くなります。加えて、骨盤につながっている筋肉なので骨盤の歪みを引き起こす原因にも。
リンパや血液を上半身に送るポンプの役割もあるため、内臀筋が衰えると代謝が滞り、むくみやすい体質になってしまいます。下半身のトラブルを妨げるにも鍛えるべき筋肉と言えます。
■3:下腹
下腹は、なかなか脂肪が落ちにくいところです。
妊娠中の筋力低下によって内臓が下にさがると、ぽっこりお腹の原因にも……。加えて脂肪がつくと、腰痛や便秘を引き起こします。下腹のぽっこり化を防ぐためには、腹筋をつけることが効果的です。
■筋力が低下しやすい現代人、意識的に体を動かすように
昨今、普段の生活が便利になりすぎて、私たちはあまり筋肉を使わない状況下にいます。
公共スペースのトイレは洋式が多く、和式はすっかり少なくなりました。和式トイレは、自然とスクワットができるので知らず知らずに下半身の運動ができていたのです。
移動にも車や電車を利用するなど運動量が少なくなる一方の現代、意識して体を動かすことが重要です。
■運動を生活の一部として、継続的に鍛える
以上の3つの筋肉を鍛えるには、日常生活にいかにさりげなく運動をする時間を組み込むかがポイント。普段の行動が結果として「鍛えることにつながっていた」という習慣にしてしまうことがベストでしょう。
誰でもすぐにできる運動と生活習慣4つをご紹介します。
(1)階段を使う
移動時は階段を使いましょう。全身運動になることに加えて、脚の上げ下げは大臀筋の筋力アップにも効果的です。
(2)スクワット
内臀筋を使うことができ、下腹にも力が入るので自然と鍛えられます。いきなり多い回数をこなそうとすると、かえってやる気がなくなり持続できない可能性があるため、自分にとって無理ない回数×3セットから始めてみましょう。
(3)立ち上がるときは重点を中心に
人は体の癖でどちらかに重心が傾いていることが多いのですが、立ち上がるときに重心を中心に意識することで、お尻に力が入り、大臀筋を使うことができます。
(4)脚を閉じて座る
膝同士をくっつけて座ると、内臀筋が鍛えられます。プルプルとしてきたら使っている証。腹筋と骨盤矯正にも効果的です。
いかがでしたか? 産後のダイエットがうまくいかない人はもちろん、出産していない人でも今回ご紹介した3つの筋肉を鍛えて損なことはありません。
ぜひ日頃から意識して、生活の中で筋肉を使う習慣をつくりましょう。