テレビ番組の企画でパーソナルトレーニングジム『ライザップ』に挑戦し、目標をクリアすれば賞金500万円(CM出演料)をゲットできるという金額に惹かれ、低糖質ダイエットへの挑戦がはじまりました。
これは、2015年10月のことです。当時の森永さんの体重は89.8kg、体脂肪率30%超え、ウエストは114cmという極度の肥満体。
加えて7年前より糖尿病と診断され、毎日のインスリン注射と大量の薬の服用が欠かせず、医療費は月に1万2,000~3,000円はかかっていたといいます。
しかし4ヶ月で、体重19.9kg減、ウエスト23cm減、体脂肪半減を実現したというから驚きです。
一体どうすれば低糖質ダイエットがうまくいくのか?
森永さんの著書『モリタクの低糖質ダイエット』(SBクリエイティブ)から探っていきましょう。
■甘い糖質も甘くない糖質もカットする!
低糖質ダイエットのルールは、とてもシンプルです。
日々の食事から糖質を大量に含む食べ物をカットするだけ。そのため、どんな食べ物に糖質が多く含まれているかを知ることはとても大切なことです。
糖質には、「甘い糖質」と「甘くない糖質」があります。甘い糖質には、「ブドウ糖」「果糖」「砂糖(ショ糖)」「乳糖」などがあり、お菓子や甘い炭酸飲料などで使われています。
一方、甘くない糖質の代表は、「デンプン」。米、小麦、トウモロコシなどの穀類、イモや根菜などに含まれている糖質の主成分です。
甘い糖質は減らそうと意識しやすいのですが、甘くない糖質である、ご飯やパン、ラーメン、うどんなどの麺類も低糖質ダイエットではカットします。
■角砂糖16個分の甘い炭酸飲料をやめる
森永さんいわく、「糖尿病になると、のどが渇いてしかたなくなる」のだそうです。糖尿病がもっともひどかったとき、毎日5Lくらいの水分を摂取していたといいます。
成人の水分補給は1日平均1~1.2Lとされているので、およそ4~5倍の水分を摂取し、しかもそのほとんどがコーラやサイダーのような甘い炭酸飲料だったといいます。
甘い炭酸飲料には、砂糖などの糖質が10倍の濃度で入っているため、500mlのペットボトルには角砂糖16個分、およそ50gもの糖質が入っている計算になります。
健康な人であったとしても、森永さんと同じ量を摂取していればリスクは増えることでしょう。
■1日の糖質摂取量を「5g以下」にする
500万円という賞金が鼻先のニンジンとなり、低糖質ダイエットに真面目に取り組み始めた森永さんは、短期間に最大限の効果を得るため、1日の糖質摂取量を5g以下に設定。
日本人が1日に摂っている糖質は280g前後であり、ダイエット前は平均の約3倍の、840gの糖質を摂取していた森永さんが、5g以下に抑えるというのですから、かなり大胆なシフトチェンジです。
糖質の摂取量を、これまでから168分の1に抑える食事の内容とは、どんなものでしょうか。
まずは1日5食を1日3食に改善し、間食のお菓子も潔く卒業。甘い炭酸飲料もやめました。
「お腹がすいてたまらないのでは……?」と、空腹を心配していた森永さんですが、実際にはひどい空腹感に悩まされることもなく、それどころか糖尿病が改善し、それと同時にのどの乾きもなくなってきたといいます。
3食でも間食でも糖質を摂らない食事をすることで血糖値は安定し、血糖値の急激な低下に伴う空腹感が起きなくなっていったのです。
人間の体って、じつに不思議ですよね。
■お金をかけずに低糖質ダイエットをする
低糖質ダイエットは効果が高いけれど、お金がかかるといわれることもありますが、森永さんは「週1500円」で食費をまかない、見事に低糖質ダイエットを実践。そこには、4つの工夫がありました。
(1)豆腐を食べる
痩せやすい体をつくるには、筋肉の分解を防ぐために、肉や魚、豆腐や納豆などの大豆食品などタンパク源の摂取を重視します。
タンパク源のなかでもダントツに安いのが豆腐。木綿豆腐なら1丁(300g)でタンパク質20g、糖質5g。絹ごし豆腐は1丁でタンパク質15g、糖質6gなので、低糖質ダイエット中は木綿豆腐を選ぶと効果的です。
(2)卵を食べる
豆腐とともにおすすめしたいタンパク源が、卵。ダイエット中の卵の値段は、LLサイズが10個入りで100円、1個たったの10円だったそうです。
しかも、LLサイズ(約70g)の卵は1個でタンパク質7g、糖質はわずかに0.2gです。栄養素も豊富で、調理法も多く、どんな料理にも合うので低糖質ダイエットの強力な味方といえる食材です。
(3)胸肉を食べる
豆腐と卵に肉と魚を加えれば、バラエティが豊かになり、飽きずに続けられます。肉も魚もタンパク質が豊富で、糖質はごく微量。難点は、値段が少々高いことです。
しかし、鶏肉の胸肉なら、森永さんの事務所付近のスーパーでは、100g当たり77円というお手頃価格だとか。
タンパク質は鶏肉100gに20gも含まれています。豚肉も牛肉も部位によって異なりますが、タンパク質は100g当たり15~20g前後は含まれるようです。
アジ、イワシ、サンマ、サバなどの大衆魚も1切(80~100g)でタンパク質は10~20g摂れます。
(4)生野菜を食べる
タンパク源を確保したら、野菜、キノコ、海藻を組み合わせて、栄養バランスを整えましょう。糖質が少なく、不足しがちなビタミンやミネラルがバランスよく含まれ、さらに食物繊維も豊富です。
厚生労働省は、1日350gの野菜摂取をすすめています。生野菜なら両手にのる量で100g、過熱した野菜ならこぶし大で100gが目安です。毎食100g以上食べるようにしたいものですね。
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低糖質ダイエットが終了後、ラーメン店に行った森永さん。なんと麺を3分の1も食べ終わらないうちにギブアップしてしまったといいます。
胃が小さくなったのか、体が糖質に対して拒否反応を起こしたのか、原因は不明ですが、デブ時代のような食生活には戻らないだろうと実感しているそう。
19.9kgも体重が減った4ケ月の体験が、森永さんの外見はもちろん、食生活も健康への意識も大きく変えたようです。
こんなに変わるのなら、気になりますよね。ぜひ『モリタクの低糖質ダイエット』を参考に、低糖質ダイエットをはじめてみては?
(文/山本裕美)
【参考】
※森永卓郎(2016)『モリタクの低糖質ダイエット』SBクリエイティブ