糖質制限ダイエットに脂質制限ダイエット。骨盤矯正ダイエットという方法もよく耳にするし、半身浴ダイエットも少し前にはやった。ダイエット方法は、実に数多くの種類がある。
たくさんありすぎてどの方法が良いのかが分からない。そんな人には、快眠が漏れなく付いてくる「高タンパクダイエット」なんていかがだろうか。
よく眠ると痩せる? 高タンパクダイエットって?
「よく眠ると痩せる」など、睡眠がダイエットに与える影響に関する研究は多い。アメリカのパデュー大学の研究チームは、逆の発想で、ダイエットが睡眠に与える影響、特に高タンパクのダイエットが与える影響について調査した(※1)。
高タンパクダイエットとはどのようなものなのだろうか。調査に参加したのは肥満の50代の男女44人だ。
44人を2つのグループに分け、片方には一般的な大人が必要とする1日あたりのタンパク質(体重1キロにつき0.8グラムのタンパク質)を取ってもらう。体重60キロの人なら1日48グラムのタンパク質を取るというものだ。牛肉、豚肉、大豆、豆類などから取る。もう1つのグループにはその倍近い、1.5グラムのタンパク質を取ってもらう。同じく体重60キロの人で90グラムのタンパク質の摂取が必要だ。
どちらのグループも1日に必要なカロリー量から750キロカロリー分を減らすのだが、前述で示した通り、タンパク質は減らさない。炭水化物や脂質を減らすことでカロリーを減らすのだ。総カロリー数は落とすものの、タンパク質は必要量の倍の量を摂取する。これが研究チームが試した高タンパクダイエットだ。
これを16週間続ける。そして、4週間ごとに睡眠の質がどう変わったかも報告してもらう(※2)。
1日にステーキ330グラム分を食べてダイエット?
結果をお伝えする前に、高タンパクダイエットチームが行う、1日90グラムのタンパク質を取るということがどれほど大変なものかお伝えしたい。
例えば、牛ヒレステーキ100グラムの中には27グラムのタンパク質が含まれている(※3)。計算してみると、1日90グラムのタンパク質を取るには330グラムのステーキを食べる必要がある。朝からステーキは食べたくないし、150グラムのステーキを昼夜食べる、しかも毎日というのは、できるだろうか。
タンパク質が豊富そうに見える豆腐はどうだろうか。木綿豆腐100グラムにはタンパク質は6.6グラム(※4)。なんと1キロ以上の豆腐を食べなくてはならない。これはもっと大変だ。
1つの食品だけでタンパク質を取るわけではないので、少々、話が極端になってしまったが、44人は大変だったことだろうと想像できる。
高タンパク質ダイエット 睡眠の他にも良い影響が
さて、話を調査結果に戻そう。2つのグループの睡眠状態はどう変わったのだろうか。
ダイエットスタート3週間後では、両グループで差はなかった。しかし、高タンパクダイエットチームは苦労のかいあって、16週間後には、通常タンパクチームに比べて、睡眠の質が格段に良くなることが分かった。
しかも、睡眠だけではない。体脂肪の減少、血圧の改善につながるなど、高タンパクダイエットは他にも良い結果をもたらした(※2)。
CIRCLの過去の記事でも述べてきているとおり、睡眠が生活習慣病を防いだり、改善したりすることは明白だ。お肉が大好きな方などは特に、このダイエットを試してみるのもありだろう。
参考・引用
※1:Losing Weight with High Protein Diet Can Help Adults Sleep Better
http://www.sleepreviewmag.com/2016/03/losing-weight-high-protein-diet-help-adults-sleep-better/?ref=fr-title
※2:Higher-protein diets improve indexes of sleep in energy-restricted overweight and obese adults: results from 2 randomized controlled trials
http://ajcn.nutrition.org/content/103/3/766.abstract
※3:食品成分データベース 牛ヒレ 焼き
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm(*)
の中の
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/03/01/1365343_1-0211r3.pdf
※4:食品成分データベース 木綿豆腐
上記(*)の中の
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/12/24/1365343_1-0204.pdf