鏡で全身チェックをしたときに、自分の後ろ姿を見て愕然となったことはありませんか?
日頃なかなかチェックできない「背中」は、他人の目に晒されやすく、背中に厚みがあったり贅肉がついていたりするとそれだけで「太っている」という印象を与えやすいのです。
薄着でも格好のいいバックスタイルになるように、いますぐ姿勢の見直しやエクササイズをして痩せて、すっきりした背中を手に入れましょう!
背中に脂肪がついてしまう原因は?
にっくき背中の脂肪は、なぜつきやすく、痩せにくいのでしょうか?その原因は、大きく分けてふたつあります。
猫背
「背筋をまっすぐに伸ばしましょう」とよく言いますが、背骨は実はまっすぐではなく、横から見るとS字状になっています。背骨がカーブを描いていることで、柔軟性を保ち、外部からの衝撃を吸収することができるのです。
そして、猫背は、健康的なS字のカーブより湾曲度が強く、肩や頭が前方に出てしまっている状態を指します。
猫背になってしまう原因は、筋力の低下、背骨の関節可動域低下などのほかに、普段なにげなく起こしている行動や姿勢にもあります。長時間のデスクワーク、スマホばかり見ている……など、思い当たる節がある人は今すぐ改めましょう。
では、 なぜ猫背が背中の脂肪をつきやすく、しかも痩せにくくしてしまうのでしょうか?
デスクワークや筋力の低下などで猫背になると、背中の筋肉は血流が悪くなり、凝り固まってしまいます。血流が悪いと脂肪も燃焼できなくなり、脂肪としてどんどん蓄えられてしまうのです。
知らず知らずのうちに、背中に脂肪がついていると考えると恐ろしいですね。
猫背にはほかにも悪影響が!
猫背は背中に脂肪がつく以外にも、さまざまな悪影響を及ぼします。
◆胃の不調
猫背で内臓が圧迫されることで、胃の血行が悪くなり、消化がうまうくいかず胃が不調をきたすことがあります。
◆手足のしびれ
猫背で部分的に血流が悪くなり、末端である手足に痛みやしびれが起こることも。
◆便秘
便を出すためにはある程度の腹筋力が必要ですが、猫背だとその力が最大限出せないことになります。また、姿勢が悪いことで自律神経が乱れ、消化機能が低下したり、猫背で骨盤がずれたりし、骨盤内に多く分布されている内臓神経のはたらきが悪くなってしまい、便秘になってしまうのです。
加齢
背中に脂肪がついてしまうもうひとつの原因は「加齢」です。
人の体は、運動をしないと年に1%ずつ筋肉が衰えていくといいます。
例えば、25歳で体重50キロ、体脂肪率25%の人の筋肉は12.5㎏ですが、加齢によって下記のように変化していきます。
・35歳で約10%減 → 約1.25㎏減
・45歳で約20%減 → 約2.5㎏減
・50歳で約25%減 → 約3.1㎏減
数値で見ると、たいしたことがないように感じますが、加齢とともに体重は増えるので、「筋肉が減り、脂肪が増える」という、痩せとはほど遠い状態に陥ってしまいます。
こうして、何もせず手をこまねいているだけで歳を重ねていくと、意識しないと使うことがない背中には脂肪がどんどん蓄えられてしまうのです。
加齢によって基礎代謝も落ちる
また、人間には「基礎代謝」というものがあります。
基礎代謝とは、人が生きていくために最低限必要な生命活動のために使われるエネルギーのことです。
特に運動などしなくても、人の体は内臓を動かしたり体温を維持するためにエネルギーを消費します。そのエネルギーが基礎代謝です。
基礎代謝の高さは、10代後半から20歳になる頃にピークを迎え、その後は衰えるばかり。適度な運動をして筋力を保てば、ある程度の基礎代謝はキープできるかもしれませんが、やはり加齢にはかないません。
若い頃と同じ運動や筋トレをしても、なかなか痩せずに筋力がアップしないのは、すべて加齢による基礎代謝の低下が原因なのです。
そのなかでも、自分の目で確かめにくく、普段の悪しき生活習慣による影響を受けやすい背中は、特に痩せづらいもの。
そのため、一年でも、一日でも早く背中痩せ対策に取り組むことが大切なのです!
猫背を解消して、正しい姿勢を保とう
背中に脂肪がついてしまう原因である「猫背」と「加齢」。このふたつと向き合えば、すっきりした背中美人になることができます。
猫背を直すためには、普段の生活習慣を見直し、常に意識して背中をまっすぐにすることが大切です。日常生活を送るなかで、ときどき背中に意識を傾けてみてください。
もし、猫背になっていたら、以下のポイントを参考に姿勢を正してみましょう。
猫背を直す立っているときのポイント
1. 左右のかかとを軽くつけて、つま先はV字に開く。
2. 重心を土踏まずあたりに置く。
3. 膝は伸ばし、お尻と下腹部(丹田)に軽く力を入れて骨盤を起こす。
4. 肩の力を抜いて、軽く胸をはり、肩甲骨をやや後ろにおろす感じにする。
5. 顎は軽くひいて前を向く。
この姿勢を保てるようになると、長時間立つのも苦ではなくなります。
猫背を直す座っているときのポイント
1. 頭のてっぺんから、上に向かって糸が張られている状態をイメージする。
2. 知らずしらずのうちに顎が前に突き出していないかチェックする、出ていたら顔は正面のまま顎を引く。
3. 骨盤はやや前傾になるように座る。背もたれに頼りすぎないようにやや浅めに腰かける。
4. 左右の坐骨の頂点が座面に当たっているか、手をお尻の下に差し込んで確かめる。
5. 両脚はまっすぐ下ろし、地面をしっかりとらえるようにする。
これらのポイントを意識すると、腰への負担も軽減され、背中がまっすぐの状態でも楽に座ることができます。
背中痩せに効果的なストレッチや筋トレを行おう
ストレッチや筋トレで背中を鍛えておくことで、立ち姿勢が安定し、意識せずとも背筋が伸びるようになります。背中痩せに効果的なトレーニングをいくつかご紹介します。
タオルを使ったエクササイズ
家にあるフェイスタオルを使って、手軽に背中を引き締めることができます。
実際にやってみるとなかなかの運動量で、肩甲骨や背筋がしっかり動き、すっきりとしたボディラインづくりのほかに肩こり解消にも役立ちます。
1. タオルの端を肩幅で持ち、背筋を伸ばし息を吸いながら頭上にまっすぐ持ち上げる。
2. 息を吐きながら、腕を曲げてタオルを肩のラインまで下げる。ゆっくり深呼吸をする。
3. 息を吸いながら1に戻る。
4. ゆっくりとした呼吸を意識しながら、1〜3の動きを10回交互に繰り返す。
肩甲骨を動かすストレッチ
肩甲骨のまわりには「褐色脂肪細胞」と呼ばれる、太る原因の脂肪をエネルギーとして燃やす細胞があります。
この「褐色脂肪細胞」には、発熱して体温を高く保つ役割があるので、肩甲骨のまわりを刺激すると細胞のはたらきが活発になり、背中痩せができます。
ストレッチその1
1. 背筋を伸ばして立った状態で、息を吸いながらゆっくりと肩を上げる。
2. 息を吐きながら、ゆっくりと肩を元の位置に戻す。
3. 息を吸いながら、ゆっくりと肩を下げる。
4. 息を吐きながら、ゆっくりと肩を元の位置に戻す。
ストレッチその2
1. 肩幅と同じ程度に脚を開いて立つ。
2. ゆっくりと息を吸いながら、頭の上で手を合わせる。
3. 手のひらを外側へ向けながら、肘を引きつつ肩甲骨を寄せていく。
4. 息をゆっくり吐きながら肩甲骨を中心に寄せ、肘を肩の位置まで下ろしていく。
ひとつひとつ、呼吸を意識しながらゆっくり動かすと、より効果が高まります。
背筋を鍛えるトレーニング
背筋を鍛える代表的なものに「バックエクステンション」というトレーニングがあります。
バックエクステンションは「自重トレーニング」のひとつで、道具を使わず自分の体の重さを負担にして行う方法です。背骨に沿った脊柱規律筋を鍛えることで背筋力が上がり、すっきりとした背中になります。
1. 床にうつ伏せになり、肘を曲げて頭の横に両手を添える。
2. 上を見上げるようにして背中を反って頭を持ち上げる。
3. 一度止まってから、背筋の緊張がとけないようにゆっくりと1に戻る。
4. 1〜3を10回以上繰り返す。
ダンベルエクササイズ
ダンベルエクササイズもおもに肩甲骨を動かすものですが、ストレッチやタオルエクササイズに比べてやや負荷が大きいので、より効果が期待できます。
ダンベルがない場合には、500mlのペットボトルに水を入れたものでも代用できます。また、最近では、100円ショップで水を入れるタイプのお手軽なダンベルが売られており、こちらもおすすめです。
1. 両手にダンベルを持ち、両脚は肩幅程度に開いて背筋をまっすぐにして立つ。
2. 膝を少し曲げ、上半身を前に倒す。背中は、床と並行か少し斜め上になる角度で。
3. 上半身は固定したまま、肘を少し曲げて両サイドにダンベルを引き上げる。
4. 3〜4を10セット繰り返す。
ジムで行う筋トレ
自宅でのトレーニングで正しくトレーニングができているか不安な人は、プロの手を借りてみては?
初心者にもおすすめなのは、「ラットプルダウン」というマシンを使った運動です。
ラットプルダウンは背中の脊柱起立筋、広背筋、僧帽筋の中・下部の広い範囲の筋肉を鍛えることができる、背中痩せに適したトレーニングです。
やり方には大きく分けて、首の前にバーを引く「フロントネック」と、首の後にバーを引く「ビハインドネック」とがあり、慣れないうちはフロントネックの方が良いといわれます。
ラットプルダウンのやり方(フロントネック)
1. 肩幅より広く腕を開き、バーを持ちます。フロントネックの場合は親指をかけないようにし、バーを握りこまないようにします。
2. バーを持ったまま腰掛けます。
3. 腰が反らないようにしっかり腹筋に力を入れ、やや後ろに倒れてポジションをとります。
4. 胸をはり、胸骨に向かってバーを下に引きます。このとき、肩甲骨が動いているかを意識し、肘から下に下げるイメージで行います。
5. ゆっくりバーを上げ、元の位置に戻します。
これらのエクササイズやトレーニングなどは、すべて「今、自分はどこの筋肉を使って(鍛えて)いるか」ということに意識を傾けながら行うことで、より効果が高まります。
ただ漫然と回数をこなすのではなく、少しきついかなという程度のものを、時間をかけてゆっくり丁寧に行うことが大切です。やすやすとこなせてしまうトレーニングに意味はないのです。
背中痩せに効いていないようであれば、負担を重くする、正しいフォームかどうかチェックする、セット数を増やすなどの工夫をしてみましょう。
自分に合った方法を習慣にして、背中美人を目指そう
ダイエットが成功したか否かは、背中の見え方にかかっているといっても過言ではありません。
背中に脂肪がついてしまうのはあっという間ですが、ついてしまった脂肪を落とすのにはそれなりに時間がかかります。
今日から生活習慣を改めたり、すぐに取り入れられるトレーニングやエクササイズを一秒でも早く始めて、どこから見られても怖くない、引き締まった背中を手に入れましょう!