女性にとってダイエットは永遠のテーマですが、その中でも脚の太さや下半身太りに悩んでいる方はたくさんいるのではないでしょうか。
特に脚は、脂肪だけでなく水分によるむくみが原因でサイズが大きくなってしまいます。漢方では、そういった体内の余分な水分のことを「水毒」といいます。
水毒は、水分代謝を上げることで解消することができます。今回はその方法を、漢方薬剤師の筆者がお伝えします。
■日常生活に潜む水毒の原因とは?
夕方になるとパンプスがきつくなってきたり、お酒を飲むと脚が重くなってしまうことはありませんか?
そのような脚のむくみの原因となる水毒は、身体の循環不良によって引き起こされてしまいます。
循環不良の原因は様々ですが、
・塩分の摂り過ぎ
・運動不足
・アルコールの摂取
・冷え
・立ちっぱなし、座りっぱなし
などが挙げられます。
■水毒解消の養生法その1「塩分コントロール」
外食や飲み会が多い方や日常的に塩分量の高いものを好んで食べる方は、まず塩分摂取量を控える必要があります。
摂り過ぎた塩分は、腎臓の働きによって徐々に排出されていきますが、全て出すには、場合によっては1〜3日もかかってしまいます。
塩分コントロールが難しい方は、カリウムを多く含む食材をたくさんとり入れてください。カリウムは過剰なナトリウム(塩分)を排出してくれるので、むくみ解消にとても効果的です。
カリウムは、ほうれん草、里芋、さつまいも、ひじき、納豆、バナナ、アボカド、アーモンド、干し柿などに多く含まれています。
■水毒解消の養生法その2「筋肉を動かす」
身体の筋肉は、水分循環を良くするポンプの役割も持っています。そのため、脚の筋肉が少ない方はむくみやすくなってしまいます。
脚に筋肉をつけるには、筋トレやランニングなど運動をするのが一番効果的ですが、歩く習慣をつけたりエレベーター代わりに階段を使う習慣をつけるだけでもかなりむくみづらくなります。
また、日常的に座りっぱなしや立ちっぱなしのことが多い方は、脚の筋肉を使う頻度が少なく、これもまたむくみの原因になります。1時間に一度は立ち上がって歩いてみたり、座りながら左右の脚を交互につま先立ちをさせる動きも効果的です。
■水毒解消の養生法3「血流を良くする」
静脈に血行障害が起こると、水分や老廃物がうまく回収されずに皮膚の下に滞ってむくみとなってしまいます。
血行障害を防ぐポイントの一つは、身体を冷やさないことです。身体が冷えると血管は収縮してしまい、血流が悪くなってしまいます。もし冷えが生じてしまった時は、一日の終わりにゆっくり湯船に浸かることをオススメします。その中で脚をもみほぐすようなマッサージができたらより良いでしょう。
お風呂上がりは、できればストレッチをする習慣をつけてください。特に脚の付け根には大きなリンパがあるので、そこを伸ばすストレッチを行うと脚がとてもスッキリします。
朝晩3分間ずつ、ストレッチの習慣を付けるだけでも脚はかなりむくみづらくなりますよ。
■水毒に効くツボ
委中(いちゅう):膝のちょうど裏側にあるツボです。ここを押して痛みがある場合は、むくみが強い可能性が高いです。
左右の中指をツボに当てて、3〜5分ほど優しく押したり離したりしましょう。
豊隆(ほうりゅう):足の外側、すねの中央部分にあります。強めに揉みほぐしたり、呼吸に合わせて吸う時に押し、吐く時に戻す、を繰り返しても良いです。
■漢方を飲んでむくみ知らずの脚に
五苓散(ごれいさん):水毒解消の代表的な漢方薬です。利尿作用があり、水分摂取量の割に尿量が少ない方に効果があります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えや貧血傾向の女性に向いています。むくみだけでなく、ホルモンバランスの乱れによる生理の不調にも効果的です。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):水太りに効く漢方です。疲れやすく、関節に水が溜まりやすい方にも合う処方になります。
漢方は上記のもの以外にも様々な種類があります。むくみで漢方をご希望の方は、ご自身に合う処方を漢方の専門家にご相談くださいね。
いかがでしたか? 水毒を解消してむくみしらずな毎日を送りたいものですね。
(森田 博美)