『ハリウッド式ワークアウト 腹が凹む! 神の7秒間メソッド』(北島達也著、ワニブックス)は、画期的な身体のつくり方を明かした書籍です。ポイントは、最短距離で一番楽に理想の体型になれるワークアウト(トレーニング)である「神の7秒間理論」。
その方法を用いれば、最小の運動で最大の効果が得られるというのです。
■なぜ7秒間で理想の体型になれるのか?
でも、わずか7秒間のワークアウトで本当に身体づくりができるのでしょうか? そもそも、なぜ7秒間なのでしょうか?
著者によれば、7秒間というのは、筋肉が最大筋力を出せる限界の時間なのだそうです。ポイントは、ウエイトで筋肉に負荷をかけ、筋肉が働く限界の7秒間をつくり出すこと。
すると身体が劇的な変化を起こし、筋肥大とともに体脂肪を減らしていくことができるというのです。
ちなみにこれは著者独自の理論ではなく、正しいワークアウトを行ううえで必要不可欠な、ワールドスタンダードな理論なのだとか。
7秒間に集中して正しい方法でワークアウトすると、脳が「いま以上の筋力が必要だ」と判断し、運動のエネルギーに成る体脂肪の分解の指令を体に出すというのです。
つまり、そこで初めて、出っぱったおなかが凹みはじめ、バランスのとれた体がつくられはじめるということ。
“神の7秒間”について、もう少し探ってみることにしましょう。
■最大筋力を使わないトレーニングは無駄
神の7秒間は、ひとつの筋肉がもっとも強い力、すなわち「最大筋力」を出すことのできる限界の時間。
「身体を鍛える」という表現から多くの人がイメージするのは、ジムで60分間、全身の筋肉をまんべんなく鍛えるようなトレーニングではないでしょうか。
著者もそれ自体を否定してはいないのですが、ただし、これから理想の身体を手に入れたい人には向いていないと指摘してもいます。
なぜならそれは、上級者のアスリートのためのメソッドだから。少なくとも、「この腹を凹ませたい」「もっとかっこいい身体を手に入れたい」と思うのであれば、長時間のウェイトトレーニングを行うことは、遠回りの道を歩いているようなものだというのです。
最大筋力を使わない60分間のトレーニングをダラダラとやっても、筋肉の形が劇的に変わることは少ないということ。
■見た目が変化して「体脂肪も減少」する
「身体の見た目」を変化させるためには、筋肉を鍛えるしかないのだといいます。もちろん、体脂肪がついてたるんだ体になっているのであれば、体脂肪も減らす必要があるでしょう。
しかし「神の7秒間」をつくり出せば、その両方が可能になるというのです。
神の7秒間で大切なのは、トレーニングを繰り返すことによって筋肉側で変化するのを期待することではないそうです。そうではなく、脳に「筋肉を大きくさせる」スイッチを入れることが重要な意味を持つということ。
■最大筋力を出せる7秒間のワークアウト
ワークアウトの1セット目は、動きを捉えるために軽く。
2セット目で、重さを十分に感じる。
そして3セット目に本気を出して、ドカンと力を出す。
この3セット目が、スイッチを入れる刺激。そこで、最大筋力を出せる7秒間をつくるポイント。
限界値を超える力が必要になったとき、脳は「いま以上に力が必要だ」「筋肉を大きくしなければいけない」と指令を出すことに。
そこで初めて、筋肉のなかで筋繊維を太く大きくする化学反応が起こりはじめるのだそうです。
■どこで7秒間の最大筋力を発揮するのか
100メートル走の予選などで、アスリートたちが全力を出していないような走りをすることがあります。スタートでポンと飛び出して、ゴール前の何メートルかは流しているということ。
著者によればそれは、彼らがきちんと身体の仕組みを理解しているから。通過タイムだけを稼げる走りをしているというのです。
なぜなら、最大筋力は48~78時間に1回しか出せないから。本レースは予選の48〜78時間以内に行われるので、予選で最大筋力を出してしまうと、本番のレースで最大の力を出せなくなってしまうわけです。
この例と、おなかを凹ませるということは、筋肉の成長や痩せるため、動くためのエネルギー代謝の仕組みと大きく関わっているのだといいます。
100メートル走の時間は、およそ9~10秒間。そのなかのどこで、7秒間の最大筋力を発揮するかが勝敗を左右するということです。
彼らが練習で体感し、科学的にも考えた走りが示すとおり、ワークアウトにおいても、最大筋力を計画的に出すことが腹を凹ませるということです。
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たしかに効率的なワークアウトが実現できれば、効率的におなかをへこませることができるかもしれません。興味のある方は、ぜひ手にとってみてください。
(文/作家、書評家・印南敦史)
【参考】
※北島達也(2016)『ハリウッド式ワークアウト 腹が凹む! 神の7秒間メソッド』ワニブックス