サッカー日本代表の長友選手が取り入れていることで話題になった、ケトジェニックダイエット。
メディアを通じて注目が集まり、海外ではモデルや女優も実践している食事法です。
ケトジェニックダイエットの基本は糖質をおさえ、野菜、肉、魚を中心としたもの。
うまく行えば、体質改善により今よりもっと健康的な体が手にはいるかもしれません。
ケトジェニックダイエットとは?
現代の食事は米・パン・麺などの糖質が中心です。
このときのエネルギーの中心は、糖質から分解されたブドウ糖。
しかし近年、糖質中心の食事による弊害が数多く報告されています。
そこで注目を集めたのが、糖質を抑えた時の体のエネルギー産生回路。
糖質をひかえると、体は脂質とタンパク質からエネルギーを作り出そうとします。
この回路を使って、脂質を積極的にエネルギーとして消費できるような体質を作るのが、ケトジェニックダイエットの考え方です。
ケトジェニックのケトはケトン体という意味で、脂質の代謝中間物質の名前。
ジェニック=遺伝性のという意味から派生して、生み出すという意味です。
つまりケトジェニックダイエットとはケトン体を積極的に作り出すダイエットのこと。
ケトジェニックダイエットでは、どんな食事法にすれば良い?
ケトジェニックダイエットでは糖質を極力控えて、タンパク質をしっかり摂るのが基本です。
気になるのはその量配分。
まず糖質は1食20グラム以下に抑え、1日の総摂取量を60グラム以下にします。
20グラムの糖質の目安
ご飯…1/2杯未満
食パンの8枚切り…約1枚
食パンの6枚切り…2/3枚
中華麺…ゆであがった状態で1/4玉
タンパク質の摂取量の目安は、体重によって変わります。
体重1キロ当たり1.2~1.6グラムの摂取が理想。
つまり体重50キロの人の場合、1日に60~80グラムのタンパク質を摂取する計算になります。
仮に肉だけでタンパク質をとろうとすると、300〜400グラム必要に。
ケトジェニックダイエットは、腸内環境のことも忘れずに
ケトジェニックダイエットは体調管理も重要です。
ケトジェニックダイエットでは、タンパク質を多めに摂取することになります。
平均して通常の日本人の食事の1.5倍のタンパク質をとることになるので、たとえば便秘になり腸内で滞りが起こると、タンパク質に含まれる窒素からアンモニアが作られ、きつい体臭や便臭の原因に。
なのでケトジェニックダイエット行う時には、便通を良くするためにも、食物繊維を20〜25グラム程度摂取するのが理想です。
肉とほぼ同量の野菜をとるように意識すれば、食物繊維の量はなんなくクリアできます。
ケトジェニックダイエットは、ミネラルも重要!
ケトジェニックダイエットでは、糖質中心の食生活からタンパク質中心の生活にがらりと変わるので、体内の動き方も変わります。
この時に重要なのが、主要ミネラルのカリウム・カルシウム・マグネシウムの3種類です。
カリウムは心筋、消化管、筋肉の動きの調整に必要。
カルシウムはケトジェニックダイエット開始の直後に来る、糖質不足によるイライラを緩和する効果があります。
またカリウムとの相互作用により高血圧を防止し、心臓や脳を保護する役割が。
そして通常脳や心臓、筋肉のほとんどはブドウ糖からエネルギーを得ています。
マグネシウムには血の流れと筋肉の動きを調整する働きがあるため、ケトジェニックダイエットによりエネルギーがタンパク質に切り替わる時、マグネシウムは流れをスムーズに行い、体への負担を減らしてくれるのです。
ケトジェニックダイエットは、良質な油の摂取を心がけて
ケトジェニックダイエットでは、脂質の代謝の中間物であるケトン体が重要になります。
いつもと違うエネルギーを上手に使うためには、細胞が正常でないと変化に対応できません。
そこで大事になるのが油。
油は細胞膜の主要な構成成分です。
良質な油をとることで、細胞膜も健康で正常なものに。
細胞膜が正常なら栄養の取り込みがスムーズになり、体内や体外からの影響によるアレルギー反応や炎症を抑えてくれます。
ケトジェニックダイエットでとる油はオメガ3系のものがおススメ。
グリーンナッツオイル・亜麻仁油・えごま油が購入しやすいです。
ケトジェニックダイエットの注意点
ケトジェニックダイエットでは、糖質制限が重要になります。
糖質は主食以外にもあるので注意です。
主食以外の糖質をふくむ食べ物
・穀類
・小豆と空豆
・じゃがいもとさつまいも
・春雨
・アボカド以外の果物
・人参、ごぼう、かぼちゃ、ミニトマトやフルーツトマト
・牛乳
糖質は意外にさまざまな食べ物に含まれています。
飲み物も、いわゆる清涼飲料水は飲まないようにするのが良いかも。
ケトジェニックダイエット中、積極的に摂取すべき食べ物
ケトジェニックダイエットでは、肉・魚・卵は全てOKです。
肉に関しては、脂が少ない部位であればなお良いかも。
乳製品でもチーズは発酵の過程で乳糖が分解されているので、摂取しても大丈夫です。
そして野菜は海藻や葉物野菜がベスト。
食物繊維が豊富に含まれています。
果物で唯一OKなのがアボカド。
糖質がほとんど含まれておらず、良質なオメガ3系の脂質を含んでいます。
ケトジェニックダイエットでもたらされる効果
ケトジェニックダイエットにはさまざまは嬉しい効果が。
まず糖質を減らすことでインスリンの分泌が減り、体脂肪合成の材料を作るためのホルモンが出なくなるので、体脂肪合成が抑制されます。
また血糖値の上下が少なくなるので、眠気の減少と集中力の向上効果が。
さらに普段よりタンパク質をしっかりとるので、基礎代謝を活性化し、脂肪を積極的に燃焼できる体がつくれます。
またタンパク質には美肌効果もあり。
ケトン体はブドウ糖の2〜2.5倍のエネルギー量にもなるので、細胞の活性化により免疫機能の向上やアンチエイジングにも役立ちます。
無理をせず、楽しくケトジェニックダイエットを
ケトジェニックダイエットは生活スタイルに合わせて、1日に何回糖質を抜くか決めて大丈夫です。
夕食だけ抜く、朝と夕抜く、全部抜くの3つの選択肢があります。
どの方法を選ぶにしても、全く食べては行けない訳ではないということと、1日何回抜くかは自分の体と相談しながら決めた方が良い、ということを念頭に置いてください。
急に行うと低血糖症を発症し、めまいやふらつき、急激な眠気などで生活に支障をきたす場合があります。
美味しい肉・魚・卵をお腹いっぱい食べて、無理しない範囲で体質改善をしてゆきましょう。
written by 岩月啓四郎
(この記事の監修:管理栄養士 岩月啓四郎)