日本人の女性が不足している栄養素のひとつが食物繊維。
平成26年の『国民健康・栄養調査』によると、20~40歳代女性の平均食物繊維摂取量は12g程度と、目標量の18gに対して大きな開きがあります。
食物繊維不足は肥満や便秘、肌トラブルにつながるだけでなく、女性に多い大腸がんの原因にもなると言われているため、摂取が必要です。
しかし、食物繊維はただ摂れば良いというものではなく、“あるバランス”が重要なのです。
そこで今回は、管理栄養士の筆者が、食物繊維を摂取するときの落とし穴と今注目の大麦をご紹介します。
■大事なのは水溶性と不溶性のバランス
食物繊維は、水溶性と不溶性の2種類に分かれ、それぞれ働きが異なります。水溶性のものは糖質の吸収を抑えたり、満腹感を持続させたり、腸内環境を整えるなどの効果が期待できます。
しかし実は、日ごろ口にする野菜に含まれる食物繊維は不溶性のものが多く、水溶性食物繊維は不足しがち。
健康、美容、ダイエット、いずれを考える上でも、この水溶性食物繊維を意識することが鍵となってきます。
■大麦は穀類最強の食物繊維!
そこで今脚光を浴びているのが大麦。
実は大麦は水溶性食物繊維の含有量が、日常的に食べるお米や小麦などの穀類の中でも最高なのです。
また、大麦に含まれる“βグルカン”という水溶性食物繊維が、食物繊維のバランスを整えるのに役立つことがわかりました。
■簡単!ごはんに混ぜて炊くだけでOK
大麦の手軽な摂り方は、普段炊いているお米に混ぜて炊くだけです。
一回分ずつスティック状に小分けして売られているものや、レンジでチンするだけで手軽に食べられる大麦ごはんのレトルト食品もありますよ。
たったこれだけのことで食後の血糖上昇をゆるやかにし、満腹感を持続させて太るのを防いでくれます。
また、大麦を茹でていつも食べているスムージーやサラダ、味噌汁に入れるという食べ方もできますよ。
一度にたくさん茹でて小分けにして冷凍しておけば、使いたいときにサッと使うことができます。
いかがでしたか? 江戸時代など、昔の人は大麦を食べて健康維持に役立てていました。
調理方法も簡単なので、野菜を食べるだけでは取ることのできない水溶性食物繊維を摂るためにも、ぜひ取り入れてくみてください。
【参考】
※平成26年「国民健康・栄養調査」の結果 – 厚生労働省
※ いま、日本人が知るべき 大麦の威力(青江誠一郎農学博士・監修)
【筆者略歴】
※ 圓尾和紀 ・・・ 管理栄養士。総合病院勤務を経て予防医療を志し、独立。和食素晴らしさを伝える活動と、”不自然な食べもの”にあふれた環境で、定期的に身体をリセットする目的からファスティングを取り入れた生活の提案を行う。カラダヨロコブログ。
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