睡眠をつかさどる生体リズムに障害が起こると肥満や代謝異常を発症するリスクが高くなることを、大阪大学大学院医学系研究科の山岡正弥博士らが明らかにした。
言い換えれば、不規則な睡眠状況により生活のリズムを崩すことで太りやすい体を作っている可能性があるのだ。
今回は山岡博士らの研究概要をはじめ、生体リズムを整える方法について紹介をしていく。最近、体型の変化を感じ始めた人や生活リズムが不規則な人にはぜひ理解していただきたい。
夜勤があると太りやすくなる!?生体リズムと肥満との関係
山岡博士らのグループによると、看護師や警備員など勤務形態がシフト形式となっている人たち(以下、シフトワーカー)は、生体リズムを崩しやすく、かつその状況が長期化しやすい。
この要因として次のことが挙げられている。
・生体リズムとの生理的なズレ
・勤務中、覚醒のための喫煙
・勤務後、就寝のための飲酒
・勤務状況が不安定なことによる運動不足
・生活パターン不一致による社会生活への不適合
等である(※1)。
これらの要因から、シフトワーカーがメタボリックシンドロームや肥満、代謝異常になりやすいと考えられている。また不規則な生活のために、睡眠時間が安定しないことから体内時計がずれやすく、睡眠障害を起こす可能性も少なくない。
生体リズムの整え方 必要な要素は「光」
シフトワーカーをはじめ、生活が不規則になりやすい人たちは、どのようにして生体リズムを整えていけばいいのだろうか。
早稲田大学スポーツ科学学術院、内田直教授によると、生体リズムを調整するのに必要な因子は「光」であるという。ではどのようにして「光」を取り入れていけば良いのか。
ここで内田教授による「日常生活において、生体リズムを整える方法」を紹介する。
朝起きたらカーテンを開けよう! 今晩から実践できる生体リズムを整える方法とは
日常生活において、生体リズムを整える方法
・睡眠時間を十分確保するために、早寝をする(夜更かしをしない)。
・朝、起きたら太陽の光を浴びる。
・朝食をとる。
・適度な運動をする。
・就寝の1~2時間前に入浴する。
・夜、強い光に当たらないようにする(※2)。
お勧めしたいのは、朝起きた時にカーテンを開けることだ。
仕事が忙しいとカーテンを開ける余裕すらなくなる。特に遮光カーテンを使用している人は意識的に日差しを浴びていかないと、不規則な生活の場合には日を浴びることを忘れかねない。
不規則な生活だとバランス良く生活をすることは大変だと思うが、まずは意識的に光を取り入れ、自分のできそうなところから生体リズムを整えていってもらいたい。
引用|参考
※1:日内会誌 104:710~716,2015 生体リズム障害と肥満症 大阪大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学 山岡正弥
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/4/104_710/_pdf
※2:田辺三菱製薬 Suimin.net 睡眠トピックス
ドクターからのメッセージ 第9回 ここぞというときに最大のパフォーマンスを発揮するための生体リズムとは
http://www.suimin.net/topics/dr/vol_09.html